通信およびインターネット サービス プロバイダー(ISP)は、私たちの日常生活に欠かせないネットワークと接続を維持しています。その範囲は、お気に入りの番組のストリーミングから、友人とのオンラインゲーム、同僚とのビデオ会議まで多岐にわたります。こうしたインフラストラクチャは、動的な性質を持つため、発生した問題が特定しにくく、ユーザー体験上のリスクが生じる可能性があります。
受動的な従来型の障害対応では、十分に対処できず、未解決問題の増加、運用コストの上昇、顧客満足度の低下を招きかねません。こうした課題は、サポートコールとコストの急増によってますます悪化していて、高い離職率や燃え尽き症候群にすでに悩まされているケアエージェントに大きなプレッシャーを与えています。さらに、改善が遅く現状に見合わない社内プロセスが、過度に定型化された受け答えや、ストレスの多い顧客対応につながることも少なくありません。
在宅勤務者が増えるにつれ、信頼性の高いインターネット パフォーマンスが求められるようになりました。効果的な顧客体験アシュアランスと、サポートコスト削減を目指すサービスプロバイダーは、家庭内とラストマイル両方のネットワークパフォーマンスについて、リアルタイムの正確なインサイトを必要としています。こうしたアプローチをとれれば、問題の特定と解決が迅速化されるため、信頼性の高いブロードバンドサービスを実現して、何百万人もの加入者のニーズと好みに対応できます。しかも、速度だけでなく加入者体験でも競争力を高められます。
サービスプロバイダーは、10 年以上にわたり、ThousandEyes プラットフォームを活用して自社ネットワークと必要な外部ネットワークの可視性を高めてきました。その結果、自社ネットワークを経由するアプリケーションの顧客体験にオフネットワークサービスとサードパーティプロバイダーが与える影響をより詳細に把握できています。このたび発表・一般提供された ThousandEyes Connected Devices により、ラストマイルのパフォーマンスインサイトをリアルタイムに取得できます。解約率を改善し、サポート問い合わせ件数を減らし、中断のないサービスを提供するなど、顧客満足度を高められるようになります。
ThousandEyes Connected Devices:ブロードバンドサービスの改善と加入者体験の保証
ThousandEyes は、数千万のグローバル監視ポイントと、一日数十億回の測定を活用することで、所有環境か非所有環境かにかかわらず、世界中に分散したネットワークを可視化する重要性を再定義しています。ThousandEyes の導入により、ダウンタイムの最小化と、きわめて効果的なデジタル体験アシュアランスが可能になります。
ThousandEyes では、 ThousandEyes Connected Devices (旧名称:SamKnows)により、ラストマイルの家庭環境とモバイルネットワークに監視ポイントを新たに導入します。このソリューションは、ブロードバンドおよびインターネット サービス プロバイダー向けに特別に設計されていて、これによって高度なパフォーマンス インテリジェンスを活用することで、均質な加入者体験の保証、顧客・生涯価値の向上、規制要件への準拠、解約率の改善が実現します。
各種イノベーション(Cisco Real Speed など)や、固定およびモバイルネットワーク全体のテスト関連インサイトを活用する Connected Devices は、ラストマイルの Wi-Fi、ブロードバンド、モバイルのデジタル体験アシュアランスを可能にします。具体的には、インテリジェントインサイトと根本原因分析を使用して、接続の改善と、パフォーマンスの問題を特定する平均時間(MTTI)の最小化に有用な領域を特定します。
Virgin Media O2 を例にとると、この英国の大手通信プロバイダーは、ThousandEyes Connected Devices を活用して、競争力を変革しています。このソリューションで、超高速を超える速さの取り組みを通知するとともに、顧客に対する柔軟なサポートを加速する価値ベースのサービスで顧客体験を向上させていて、たとえば、プロアクティブなインシデント対応によってサービスコールを受ける前に問題を迅速に軽減しています。
ThousandEyes Connected Devices のユースケース
ThousandEyes は、障害の切り分けからパフォーマンスの最適化に至るまで、複数の重要な領域で有効活用が可能です。いくつか例を示します。
ユースケース 1:トラックロールをプロアクティブに削減する
大幅な速度低下や切断などの接続の問題が多発すると、顧客がサポートに問い合わせたり、技術者の出張(トラックロール)を依頼したりする可能性が高くなり、最終的には顧客離れを招きかねません。こうしたシナリオでは、サービスプロバイダーのコストが増大します。顧客の生涯価値(LTV)とネットプロモータースコア(NPS)が低下してしまう場合もあるでしょう。

ThousandEyes Connected Devices を活用すると、プロアクティブに顧客体験をモニタリングして顧客とやり取りすることで、問題の拡大を 未然に 防ぐことができます。また、Cisco Real Speed モバイル SDK などの機能を利用すると、「2 ステップ速度テスト」をモバイルアプリケーションに統合することも可能です。これにより、顧客自身で Wi-Fi の問題を診断し、問題が自宅内と自宅外のどちらにあるかを特定できるため、サポートコールや不要なトラックロールが減少します。
ユースケース 2:最適に至らないパフォーマンスを改善する
速度テストでは、必ずしも状況を包括的に把握できるわけではありません。あるリトアニアのユーザーを例にとると、100 Mbps のブロードバンド接続を契約しているにもかかわらず、人気のグローバル ストリーミング サービスでバッファリングが頻発していました。従来の速度テストは、高いパフォーマンスを示しましたが、さらに調査を進めたところ、ストリーミングサービスへのトラフィックが効率的にルーティングされていませんでした。大陸を横断した後に適切なコンテンツ デリバリ ネットワーク(CDN)に到達していることもあり、こうした不必要な迂回によって 90 ミリ秒を超える遅延が発生し、ストリーミングの品質が低下していたのです。

ThousandEyes Connected Devices を導入すると、こうした隠れたルーティングの非効率性をリアルタイムで検出することで、トラフィックルーティングを最適化し、シームレスなストリーミング体験を提供できます。このような問題をプロアクティブに特定し解決できるため、ユーザー満足度が向上し、顧客の不満も減少します。ストリーミング、ゲーム、メディアサービスに対応した ThousandEyes の広範なテストなら、顧客が 実際に 感じているインターネット体験を詳細に把握できます。
ユースケース 3:障害の解決を迅速化する
ある新規の顧客から、ゲーム中にバッファリングが生じ、接続も不安定という苦情の連絡がありました。以前ならこれは、Wi-Fi またはデバイスの問題とされ、デバイスの再起動、次に再トレーニングの待機というように障害対応のプロセスが定型化され、その結果、解決が遅れていました。しかし、ThousandEyes Connected Devices を導入すると、ネットワークの正常性をリアルタイムで可視化できるため、より迅速で正確な診断が可能になります。

エージェントビューでは、たとえば、5 月 21 日以降に発生した複数の切断をすばやく特定して、ケーブル障害の可能性を検知できます。顧客メタデータを使用すると、複数の家庭に影響する CMTS のトラブル対応で、根本原因の相関付けや切り分けが可能です。また、不要な障害対応を行うのではなく、問題をフィールドエンジニアリングにエスカレーションして、回線レベルの問題を確認してもらえます。マクロレベルの分析を活用すると、技術者を派遣する前に障害の場所を正確に特定できるため、MTTR が大幅に短縮され、顧客体験も向上します。
さらに詳しい情報は Mobile World Congress で
ThousandEyes Connected Devices にご関心があれば 2025 年 3 月 3 日〜 6 日に開催の Mobile World Congress にぜひお越しください。詳しくご説明します。ソリューション情報は、こちらでもご確認いただけます。